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代表挨拶

重田育照 Yasuteru SHIGETA
重田育照 Yasuteru SHIGETA

生命機能は単純な物性機能とは大きく異なり、集団的かつ動的な過程によって支配されています。そのため、同じ現象を様々な角度から計測し、自然科学的なシミュレーションや、情報科学的データ解析により内在するメカニズムを合理的に解明することは、極めて大きな挑戦課題です。例えば、病気ひとつをとったとしても、メカニズムを完全に解明し、その予防や治療に繋げられた研究はそれほど多くありません。それらを達成するためには、ウェットの実験、構造解析、理論・計算をワンルーフで行うことが大切です。

我々の量子情報生命科学研究センター(QiLS)は、量子科学・情報技術と化学、生物学、農学、医学との境界領域における共同研究を促進するために設立されました。このセンターでの研究は、生物学、化学、医学における新しい観察様式を可能にする測定・計算技術を開発し、生物システムにおいてナノレベルでの分子ダイナミクスが果たす役割を解明することを目的としています。導き出された根本原理と卓越した技術によって、今後、生命科学のさまざまな専門分野の研究を推進するために利用されることが期待されます。またQiLSで行われる学際的研究は基礎研究と応用研究を包含し、ナノテクノロジーや製薬企業との共同研究を視野に入れています。多様な共同研究を通じて、人材育成や社会貢献が出来ることを祈念しています。

量子情報生命科学研究センター(QiLS)の概要
Quantum Information and Life Sciences Center

複雑な生物系における量子効果の研究、つまり量子生物学分野の歴史は、量子力学の初期の時代までさかのぼるが、近年の、測定技術、およびコンピュータの発展によって実際に検証できる様になってきたのはごく最近のことです。本研究センターでは、生命を構成する生体内分子の生体内での作用を量子レベルで明らかにし、情報学的研究手法と組み合わせる事で普遍原理を見出すことを目的としています。その応用範囲は、物理学、化学、生物学などの基礎科学にとどまらず、薬学、医学、農学などライフサイエンスのさまざまな領域に波及する事が期待されます。上記の目的のため、筑波大学の様々な組織のトップ研究者を集約し、2022年度拠点形成事業により本センターを設立しました。

組織体制